ガスセンサとは、目に見えないガスの存在を調べることができるセンシングデバイスです。家庭の都市ガス・プロパンガス警報器をはじめとして、エアコンや空気清浄機、自動車等に広く使われています。
その中で、当社が得意とする4つのガス検知の原理を解説いたします。

NDIR(非分散型赤外線)式ガスセンサのしくみ

NDIR(non-dispersive infrared)式ガスセンサは、放射された赤外線が対象ガスの分子振動を引き起こすことにより、特定波長の赤外線が吸収される現象を利用してガスを検知します。赤外線の透過率(透過光強度と放射源からの放射光強度の比)は、対象ガスの濃度によって決まります。

画像: きれいな空気とCo2ガスが多くなった空気の

センサは、赤外線の放射源、受光素子、光学フィルタと、それらを収める測定セルおよび信号処理回路から構成されています。単光源二波長方式のセンサでは、2個の受光素子の前段に透過波長域の異なる光学フィルタをそれぞれ配置し、測定対象ガスの吸収をもつ吸収波長域と、吸収をもたない比較波長域での透過量を比較してガス濃度に変換します。そのため、二波長方式では長期的に安定した測定が可能となります。

検知原理

中赤外領域の赤外線をガスに照射すると、ガス分子の振動数と赤外線のエネルギーレベルが一致するスペクトル領域において、赤外線は分子の固有振動数で共振し、分子振動としてガス分子に吸収されます。
ガス濃度と赤外線の透過率の関係は、以下のランベルト・ベールの法則により説明できます。NDIR式ガスセンサにおいて、対象ガスの吸光度εと光路長dは不変です。対象となるガスの吸収エネルギー(波長)と一致するスペクトル領域で、赤外線の透過率Tを測定することにより、対象ガスの濃度cを得ることができます。

\[ \huge{T=I/I_0=e^{-{\varepsilon}cd}} \]
\[ T \]
透過率
\[ I \]
透過光強度
\[ I_0 \]
放射光強度
\[ {\varepsilon} \]
吸光度
\[ c \]
ガス濃度
\[ d \]
光路長

放射源からの放射光強度I0は、赤外線の吸収がないゼロガスを用いたキャリブレーションにより設定されます。吸光度εは、既知の濃度の対象ガスを用いたキャリブレーションにより初期設定されます。

特長

対象ガスに応じて固有の赤外線のエネルギー(波長)で赤外線が吸収されることから、ガス選択性が非常に高いことが特長です。対象ガスによる高濃度・長時間暴露においても不可逆的な感度変動は原理的にありません。