半導体式ガスセンサ/ガスセンサのリーディングカンパニーフィガロ技研

ガスセンサとは ~ガスセンサの検知原理~

ガスセンサとは、目に見えないガスの存在を調べることができるセンシングデバイスです。家庭の都市ガス・プロパンガス警報器をはじめとして、エアコンや空気清浄機、自動車等に広く使われています。
その中で、当社が得意とする3つのガス検知の原理を解説いたします。

  • 半導体式
  • 接触燃焼式
  • 電気化学式

簡単なしくみ

STEP1

きれいな空気中では、酸化スズ表面に吸着した酸素が酸化スズ中の電子をとらえているために電気が流れにくい状態にあります。

STEP2

もれてきたガス(還元性ガス)中では、表面の酸素が還元ガスと反応して取り去られて、酸化スズ中の電子が自由になります。その影響で、電気が流れやすくなります。

センサの検知原理

 数百度の温度で酸化スズ粒子を酸素に曝すと、酸素が粒子中の電子を捕捉し、粒子表面に吸着します。その結果酸化スズ粒子に空乏層が形成されます。ガスセンサに使用される酸化スズ粒子は、一般にとても小さいため、空気中では粒子全体が空乏層にのみこまれた状態になっています。この状態をvolume depletionと呼びます。一方、空乏層が粒子中心まで及んでいない状態をregional depletionと呼びます。
 酸素分圧をゼロ(flat band)から小([O-](Ⅰ))→中([O-](Ⅱ))→大([O-](Ⅲ))と上昇させたときのエネルギーバンド構造と伝導電子分布の変化を下図に示します([O-]:吸着酸素濃度)。volume depletionでは空乏層の厚さ変化が終わりフェルミレベルのシフトpkTが発生します。空乏状態が進行するとpkTが大きくなり、後退するとpkTが小さくなります。

■ 吸着酸素濃度の増加に伴う半導体粒子の空乏状態の進行

エネルギーバンド構造

x : 半径方向距離
qV(x) : ポテンシャルエネルギー
a : 粒子半径
[O-] : 吸着酸素濃度
EC : 伝導帯の下端
EF : フェルミレベル
pkT : フェルミレベルシフト

伝導電子分布

[e] : 電子濃度
Nd : ドナー密度

 volume depletionでは球状酸化スズ粒子の表面電子濃度[e]Sは、ドナー密度Nd、粒子半径aおよびデバイ長LDを用いて、式(1)で表されます。pが大きくなれば[e]Sが減少し、小さくなれば[e]Sが増大します。

[e]S=Nd exp{-(1/6)(a/LD)2-p} ... (1)

 大きさ、ドナー密度が同じ球状酸化スズ粒子からなるセンサの抵抗値Rは、flat bandにおける抵抗値R0を用いて、式(2)で表すことができます。[e]Sが減少すればRが大きくなり、 [e]Sが増大すればRが小さくなります。

R/R0= Nd/[e]S ... (2)

 このようにして酸化スズを用いた半導体式ガスセンサでは酸化スズ粒子表面の[O-]の変化がRの変化となって現れます。

 数百度に加熱され空気中に置かれた酸化スズ粒子は、一酸化炭素のような還元性ガスに曝されると、その表面に吸着している酸素とガスの間で反応が起こり[O-]が減少します。その結果[e]Sが増大してRが小さくなります。還元性ガスを取り除くと、[O-]はガスに曝される前の濃度まで増大し、Rはガスに曝される前の大きさまで戻ります。酸化スズを用いた半導体式ガスセンサはこの機構を利用してガスの検知を行なっています。

参考文献: Noboru Yamazoe, Kengo Shimanoe, Basic approach to the transducer function of oxide
semiconductor gas sensors, Sensors and Actuators B 160 (2011) 1352-1362

ご使用にあたってのお願いと注意事項

  • ご使用の際は必ず当社の製品技術資料等により、製品の仕様と使用条件の確認を行ってください。
  • 回路上で他の電子部品にショート、オープンなどの不具合が発生した場合、ガスセンサに定格を超える電圧、電流、温度などがかからないような設計にご留意ください。
  • ガスセンサの故障により、他の部品に影響を及ぼし、直接あるいは間接的にガスセンサを使用する機器の誤動作、発煙、発火その他の不安定状態を生じるなど、機器の安全性を損なう事の無い設計にご留意ください。
  • 必要に応じて保護回路等のフェールセーフ機能などの安全対策を講じていただきますようにお願いいたします。

ご使用上の安全に関する注意事項

使用電圧について
センサに定格以上の電圧(回路電圧及びヒータ電圧)を印加すると、断線することや、断線にいたらない場合でもセンサ特性に影響を及ぼすことがあります。一度でも過電圧を経験したセンサは使用しないで下さい。
使用環境について
シリコン系の接着剤、整髪料、ゴム、パテ等をセンサ近傍で使用すると、シリコンがセンサ表面に吸着することで、センサ特性へ影響を及ぼす場合があります。
アルカリ金属による汚染(特に塩水噴霧)はガスセンサの特性を大きく変化させる場合があります。基本的には他の無機元素による汚染についても同様のことが考えられます。
センサ表面が結露し、水分がセンサ表面に溜まった状態が長時間続くと、特性が変化することがあります。但し、屋内に設置された状態での軽い結露は問題ありません。
センサ表面で水が凍結すると、センサ表面にクラックを生じることがあります。
通電の有無にかかわらず、極端な高温多湿中で長期間暴露されると、センサ特性に影響を与える場合があります。
ガスセンサは、酸素濃度がゼロあるいは低濃度の環境においては正常に作動しません。通常大気中程度の酸素が必要です。
取扱いについて
センサを水に浸したり、センサに水をかけたりすると、特性に影響を与える場合があります。
コンクリートのような硬い床に1m程度以上の高さから落下させると断線に到ることがあります。断線しないまでも落下などの衝撃を受けたセンサをご使用にならないことをお奨めします。
保管方法について
センサを無通電状態にて大気中で長期間保存すると、センサの抵抗値が高抵抗化する可能性があります。その後、センサを通電状態にすることでセンサ抵抗値は回復していき、元のレベルに戻りますが、センサを長期間保存される場合には、なるべく臭いが無くガスの出ないパック材にて封印して保存して下さい。
アルコール類、アセトン、揮発性オイル等が存在する雰囲気下でセンサを保管すると、これらの雑ガスが表面に吸着し一時的にセンサ特性が変化する場合があります。センサを長期間保管される場合には、雑ガスの発生しないパック材にて密閉保管して下さい。
実装時の注意事項
(1) 推奨するフラックス: 塩素含有が最小限の松脂フラックス
(2) 搬送速度: 1~2m/分
(3) プリヒーター温度: 100±20℃
(4) はんだ槽温度: 250±10℃
(5) はんだ槽許容回数: 最大2回まで
センサを基板に半田付けする際、半田槽を使用すると、半田から発生する高濃度のフラックスがセンサ特性に影響を及ぼす可能性があります。センサの半田付けは手半田をお奨めします。(量産時に半田槽のご使用を検討される場合には、試組などでご確認下さい) 例えば、製造工程にてエアードライバーを御使用になる場合など、リード線が共振するような振動を加えると断線する場合があります。量産時に御使用を検討される場合には、試組などでご確認下さい。
  • 半導体式
  • 接触燃焼式
  • 電気化学式