2025.03.31

ガスセンサの使い方 (アナログ編①)
~簡単な電源配線と評価用モジュールを使用したデータ取得~

目次

ガスセンサは、空気中の特定のガスを検知することで、電気信号として出力することができるセンシングデバイスです。家庭の都市ガス・プロパンガス警報器をはじめ、エアコンや空気清浄機、自動車など広く使用され、私たちの生活の安全に貢献しています。

なかでも、アナログ出力タイプのガスセンサは、ガス濃度を細かく測定し、リアルタイムでのデータ取得が可能というメリットがあります。

この記事では、高度な設備を使用せず、評価用モジュールと簡単な電源配線のみで実現するガスセンサのデータ取得方法(アナログ出力)について解説します。

「ガスセンサ」のアナログ出力を取得する2つの方法について

ガスセンサのアナログ出力を取得する方法は、以下の2つに大別されます。

①DC5V電源や簡単な配線部品を自分で準備する方法
評価用チャンバー(EC01)を使用する方法

今回は、①DC5V電源や簡単な配線部品を自分で準備して、ガスセンサのアナログ出力を取得する方法を解説していきます。

DC5V電源や簡単な配線部品を自分で準備する方法

必要な備品と、ガスセンサのデータを取得する手順を説明していきます。

必要備品について

ガスセンサのデータを取得するにはこれらの備品が必要です。

  • ガスセンサ(TGS2600など)

  • 評価用モジュール(EM26)

  • デジタルマルチメータまたはデータロガー

  • DC5V電源(以下のいずれかを準備)
    ・安定化電源
    ・スイッチング電源
    ・USB type-C電源

  • USB type-C 変換基板
    ※市販品(サンハヤト製など)

  • ブレッドボード
    ※市販品(サンハヤト製など)

  • 信号線、電源配線

  • ジャンパー線

<USB type-C 変換基板の例>
サンハヤト USB Type-C コネクタ変換基板(CK-45)
スイッチサイエンス Adafruit USB Type-Cピッチ変換基板(垂直タイプ)
共立電子 電源供給用USB Type-Cコネクター DIP化キット など

ガスセンサの装着と配線について

今回は、フィガロのガスセンサ「TGS2600(空気の汚れ検知用ガスセンサ)」を使用します。

まずはじめに、ガスセンサを評価用モジュール(EM26)に装着します。上の図の矢印で指し示す部分のように、センサの突起部がコネクタ側になるよう装着してください。

次に「ブレッドボード」と「USB type-C電源」を使用してガスセンサの出力データを取得してみましょう。
※ブレッドボードの取扱いについては、各メーカーの取り扱い説明書をご参照ください。

ガスセンサを取り付けた評価用モジュール(EM26)を、上の写真のように「ブレッドボード」に取り付けてください。

USB type-Cケーブルから5V電源を得るための変換基板(サンハヤト製など)と、配線を簡便にするためのジャンパー線を使用しています。

今回は、簡単にガスセンサの出力データをロギング(収録)するために、データロガーとブレッドボードを使用します。

データロガーのプラス側(+)端子とマイナス側(ー)端子に、信号線、GNDライン、+5Vラインを上の写真のように配線してください。今回使用するものは、プラス側の端子が上段、マイナス側は下段に配置されています。

データロガーへの配線

黄色線:信号線 赤色線:+5Vライン 黒色線:GNDライン

配線が完了しました。

データの取得について

それでは、半導体式ガスセンサ(TGS2600)と評価用モジュール(EM26)を使用して、一般的なオフィス内でのガスセンサ出力を以下の手順でロギング(収録)してみましょう。

評価用モジュール(EM26)を使用したデータの取得方法

まず初めに、データロガーの電源をONにして、サンプリング条件を設定(上図では1秒周期、0+5V、4CHのみ表示設定)し、先にロギング(収録)を開始します。

次に、USB type-Cケーブルからの電源供給を開始するためにコンセントを差し込みます。

ガスセンサのアナログ出力がデータロガー内に収録されていきます。ロギングを終了したい場合は、「STOP」ボタンを押して終了します。

アナログ出力データの保存

Microsoft Excelで開いたCSVデータ

データロガーにアナログ出力データが収録されたことを確認できたら、CSV形式でPCに保存してください。CSVデータをMicrosoft Excelで開くと、上図のように表示されます。

Microsoft Excelで開いたデータをグラフ化してみましょう。

グラフ上に青色で示す線は半導体式ガスセンサ(TGS2600)の出力する電圧の大きさ、赤色の波線は+5Vラインの電圧を示しています。グラフからは、電源ONにした直後、TGS2600の清浄大気中での出力が初期的に大きく変化することが分かります。

ガスセンサを活用しよう

ガスセンサは、安全管理や健康維持、環境測定などのさまざまな分野で使用されています。

センサの種類によって測定方式や注意点が異なるため、用途に合ったセンサを選び、正しい手順で測定しましょう。

フィガロ技研は、ガスセンサの開発・製造だけでなく、より精密な検査設備にてガスセンサの性能評価や感度測定も行っています。

また、同社公式サイトでは、ガスセンサの感度測定方法や注意点についてアニメーションを用いて分かりやすく解説しています。

動画でわかる!ガスセンサ»

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Gas Sensing Innovation

フィガロ技研は世界トップレベルの生産販売量を誇るガスセンサメーカーです。
1969年の創業以来「独自のガスセンシング技術を通じて、世界の人々の安全・安心・快適な生活を実現する」を合言葉に、半導体式ガスセンサをはじめとした各種ガスセンサの研究開発、応用商品の開発・普及に取り組んでいます。