ガスセンサの使い方 (アナログ編②)
~評価用チャンバーを使用したデータ取得~

フィガロの評価用チャンバー(EC01)を使用すれば、かなり高額な設備装置や器具を準備する必要がなく、簡単にガスセンサの感度を測定することが可能です。
この記事では、評価用チャンバーと評価用モジュールを使用してガスセンサのアナログ出力を取得する方法を解説していきます。
評価用チャンバー(EC01)を使えば準備は簡単
必要備品について
ガスセンサのデータを取得する方法の1つとして、評価用チャンバー(EC01)を使用する場合には、以下のような備品が必要になります。
- ガスセンサ
(TGS2600など) - 評価用モジュール
(EM26)
- デジタルマルチメータまたはデータロガー
- 評価用チャンバー(EC01)
ガスセンサの装着と配線について
評価用モジュール(EM26)
今回は、フィガロ技研のガスセンサ「TGS2600(空気の汚れ検知用ガスセンサ)」「TGS2602(空気の汚れ・ニオイ検知用ガスセンサ)」「TGS2603(空気の汚れ・悪臭検知用ガスセンサ)」の3種類の半導体式ガスセンサを使用します。
まずはじめに、これらのガスセンサを評価用モジュール(EM26)に装着します。上の図のようにセンサの突起部(矢印で指している部分)がコネクタ側になるように装着してください。
半導体式ガスセンサを評価用モジュール(EM26)に装着したものが上の写真になります。
モジュール測定用ボード
5Pinコネクタ(白)
次に、ガスセンサを取り付けた評価用モジュール(EM26)を評価用チャンバー(EC01)に付属のモジュール測定用ボードに取り付けてください。
その際、モジュールのピン番号とモジュール測定用ボード上の5Pinコネクタ(白)のピン番号と合わせて、しっかり奥まで挿し込んでください。
モジュール測定用ボードにガスセンサを取り付けました。
ガスセンサを取り付けたモジュール測定用ボードを、評価用チャンバー(EC01)の中に設置します。
次に、上の写真の矢印で示す部分のように①電源供給用ケーブル(白、2芯)をコネクタに接続させ、チャンバー内側の②フラットケーブル(50芯)をモジュール測定用ボードのコネクタに接続します。
①コネクタ付きフラットケーブル
②コネクタ部分の切断
③信号線の被覆を剥く
最後に、評価用チャンバー(EC01)の外に出ているフラットケーブル(50芯)〈写真①〉とデータロガーを配線します。
フラットケーブル端にはコネクタ(黒)が付いていますが、延長用フラットケーブル(オムロン製_XG4E-5031)が無い場合は、ハサミでコネクタを切断します。〈写真②〉
そして、EC01取扱説明書を見ながら、フラットケーブルの必要な信号線の被覆を剥いて準備します。〈写真③〉
データロガー
今回は、複数のガスセンサのアナログ出力を同時に取得するためにデータロガーを使用します。データロガーのプラス側(+)端子とマイナス側(ー)端子に、フラットケーブルの必要な信号線、GNDライン、+5Vラインを写真のように配線します。
今回使用するデータロガーは、プラス側の端子が上段、マイナス側は下段に配置されています。
以上で配線は完了です。
データの取得について
それでは、3種類の半導体式ガスセンサを使用して、一般的なオフィス内でのセンサ出力を以下の手順でロギング(収録)してみましょう。
評価用モジュール(EM26)と評価用チャンバー(EC01)を使用したデータの取得方法
(1) 評価用チャンバー(EC01)本体のACケーブル(黒)をコンセントに挿します。
(2) データロガーの電源をONにして、サンプリング条件(上図では、1秒周期、0~+5V、4CHのみ表示設定)を設定します。
(3) 先にロギング(収録)を開始します。
(4) 本体のPowerスイッチをONにします。
(5) ガスセンサのアナログ出力がデータロガー内に収録されます。ロギング(収録)を終了したい場合には、「STOP」ボタンを押して終了します。
アナログ出力データの保存
データロガーにアナログ出力データが収録されたことを確認できたら、CSV形式でPCに保存してください。CSVデータをMicrosoft Excelで開くと、上のようになります。
(ガスセンサの種類)CH1:TGS2600 CH2:TGS2602 CH3:TGS2603 CH4:+5V
Microsoft Excelで開いたデータをグラフ化してみましょう。グラフからは、電源ONにした直後、半導体式ガスセンサの清浄大気中での出力は、初期的に大きく変化することが確認できます。
アナログ出力にはこんなメリットが
アナログ出力タイプのガスセンサは、安定した測定が可能であることや、測定結果を迅速かつ容易に他の機器に伝送できるという特長があります。
また、センサ出力の変化を殆どリアルタイムで細かく測定できるため、ON/OFF信号のみで判断するデジタル出力と違い、センサ出力の増減を詳細に観測することが可能です。
フィガロ技研の公式サイトでは、ガスセンサの検知原理や使用方法などをアニメーションで分かりやすく解説していますので、ぜひご活用ください。
Gas Sensing Innovation
フィガロ技研は世界トップレベルの生産販売量を誇るガスセンサメーカーです。
1969年の創業以来「独自のガスセンシング技術を通じて、世界の人々の安全・安心・快適な生活を実現する」を合言葉に、半導体式ガスセンサをはじめとした各種ガスセンサの研究開発、応用商品の開発・普及に取り組んでいます。