Ⅰ. ご使用にあたってのお願い

  • ご使用の際は必ず当社の製品技術資料等により、製品の仕様と使用条件の確認を行ってください。
  • 回路上で他の電子部品にショート、オープンなどの不具合が発生した場合、ガスセンサに定格を超える電圧、電流、温度などがかからないような設計にご留意ください。
  • ガスセンサの故障により、他の部品に影響を及ぼし、直接あるいは間接的にガスセンサを使用する機器の誤動作、発煙、発火その他の不安定状態を生じるなど、機器の安全性を損なう事の無い設計にご留意ください。
  • 必要に応じて保護回路等のフェールセーフ機能などの安全対策を講じていただきますようにお願いいたします。

Ⅱ. 電気化学式ガスセンサ(TGS5000シリーズ) ご使用上の注意事項

【使用・保管環境】

  1. ① 定格温湿度
    定格温湿度範囲外の環境下でセンサを使用あるいは保管すると、物理的損傷や、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。
  2. ② 保管方法
    水タンクのあるセンサを密封した状態で保管するとセンサ内部に結露が生じ、センサ感度が消失する場合があります。清浄大気中にて密閉せずに保管してください。水タンクのないセンサを汚れた雰囲気中で長期間保管する場合は、ニオイの発生しない密閉袋にて保管して下さい。ただしシリカゲル等の除湿剤は使用しないでください。
  3. ③ 結露
    センサ内部で結露が生じると、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。
  4. ④ 凍結
    水タンクがあるセンサでは,水が凍結すると膨張により筐体が変形し、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。キャップ部を上向きに設置することで、このような問題が起きにくくなります。
  5. ⑤ 酸素濃度範囲
    酸素がない環境ではセンサは正常に作動しません。
  6. ⑥ 高濃度ガス
    センサを使用中あるいは保管中に、高濃度のガスに長時間曝されると、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。
  7. ⑦ 有機系蒸気
    アルコール類やアセトン、揮発性オイルなどから発生する有機系蒸気にセンサが曝されると、有機蒸気が感ガス部に吸着してセンサの特性に影響を及ぼす場合があります。
  8. ⑧ 粉塵・オイルミスト
    極度の粉塵やオイルミストに曝されると、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。
  9. ⑨ アルカリ金属
    アルカリ金属によりセンサが汚染されると、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。特に塩水ミストなどが直接センサにあたることは避けてください。
  10. ⑩ 腐食性の高濃度ガス
    硫黄系や塩素系など腐食性の高濃度ガスに長時間曝されると、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。そのような環境での使用や保管は避けてください。
  11. ⑪ フィルタ付きセンサ
    フィルタ付きセンサの場合、アルコールなど有機溶剤の蒸気に長時間曝されるとフィルタが破過し、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。そのような環境での使用や保管は避けてください。

【センサ取り扱い】

  1. ① 印加電圧
    センサの電極間に±10mV以上の電圧を印加すると、物理的損傷や、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。一度でも上記の電圧を経験したセンサは使用しないでください。
  2. ② 振動・衝撃
    強い振動や衝撃を与えると特性変化や、筐体の変形などが起こる場合があります。落下などの衝撃を受けたセンサは使用しないでください。
  3. ③ 浸水の禁止
    センサを水に浸したり、センサに水をかけたりしないでください。センサの特性に影響を及ぼす場合があります。
  4. ④ 分解・変形の禁止
    センサを分解したり、変形させたりしないでください。
  5. ⑤ ガスの流入孔
    ガスの流入孔をふさがないでください。センサが機能しなくなります。

【実装】

  1. ① 半田付け
    センサの半田付けの際、フラックスや半田付け時の熱がセンサの特性に影響を及ぼす場合があります。半田付け方法は手半田を推奨します。半田槽を使用される場合には比較的塩素含有量が少ない松脂フラックスを使用し、試組などでセンサの特性に影響がないことをご確認の上ご使用ください。
  2. ② 樹脂コート
    プリント基板等の耐湿性の向上を目的に樹脂コートを使用される場合は、樹脂に含まれる化学成分溶剤により特性劣化を起こすことがあります。センサの特性に影響がないことをご確認の上ご使用ください。
  3. ③ 静電気
    機器への組込み作業を行う際には、特に静電気に十分注意してください。
  4. ④ 共振
    製造工程にてエアードライバーや超音波溶接機をご使用になる場合など、共振するような振動を加えると構造破壊や断線につながることがあります。量産時にご使用を検討される場合には、試組などでご確認ください。

【応用機器設計】

  1. ① 予備通電時間
    無通電での保管期間が長くなるほど、分極が発生してセンサが安定するまでに必要な予備通電時間が長くなります。設計時には分極防止回路を入れることをお勧めします。
  2. ② 凍結
    水タンクのあるセンサでは、零度以下の低温になるとタンク内の水が凍結する可能性があります。水が凍結すると体積が増えるためセンサ本体が変形する場合があります。機器の設計時はセンサが変形した場合でも周囲に配置された電子部品や回路パターンなどに接触しないようにご留意ください。
  3. ③ 取付方向
    水タンクがあるセンサでは,水が凍結すると膨張により筐体が変形し、センサの特性に影響を及ぼす場合があります。必ずキャップ部が上向きになるように設置してください。
  4. ④ 導電性物質の侵入
    センサ内部に導電性の物質が入った場合、電気的な短絡が発生する場合があります。そのような使用環境が想定される場合には、センサの上に外部フィルタの装着をお奨めします。
  5. ⑤ 使用可否の確認
    実際のご使用条件で問題なく使用できることをお客様の責任で必ずご確認ください。